コラム 封筒に「請求書在中」と書く理由は?正しい記載方法やマナーも解説

投稿日:2025/11/27
最終更新日:2025/11/27

請求書を郵送で送る際、封筒に「請求書在中」と記載するのは、単なる形式的なルールではなく、ビジネス上の信頼を守るための重要なマナーです。封筒を受け取った相手が一目で内容を判断できるようにすることで、経理処理の遅れや誤配送を防ぎ、取引を円滑に進めることができます。また、「請求書在中」という言葉には、相手の立場を思いやる心遣いも込められており、企業の印象を左右する小さな配慮でもあります。

本記事では、「請求書在中」と書く理由から、正しい記載方法、手書き・スタンプ・印刷の違い、さらに送付時のマナーまでを詳しく解説します。正しい手順を理解して、取引先に信頼される請求書送付を心がけましょう。

この記事で分かること
● 封筒に「請求書在中」と記載する理由(処理の効率化・誤配送防止・ビジネスマナーとしての配慮)が理解できる
● 「請求書在中」の正しい書き方や位置、色、手書き・スタンプ・印刷などの方法の違いと使い分けが分かる
● 請求書送付時に守るべきマナー(送付状の添付・封字の記載・書類保護の工夫)や注意点を押さえられる

なぜ封筒に「請求書在中」と書くのか?

  • 請求書を郵送で送る際、多くの企業が封筒に「請求書在中」と明記します。これは単なる慣習ではなく、実務上の合理的な理由とビジネスマナーの両面から重要な意味を持っています。記載することで、受け取る側の処理がスムーズになり、誤配送や支払い遅延といったトラブルの防止にもつながります。以下では、その理由を3つの観点から解説します。

先方のスムーズな処理を助けるため

  • 企業には日々、多数の郵便物や書類が届きます。その中で封筒に「請求書在中」と書かれていれば、受け取った人が中身を即座に判断でき、経理部門に優先的に回すことができます。これにより、請求書が他の郵便物に紛れたり、開封が後回しになったりするリスクを防ぐことが可能です。特に支払期日が迫っている場合でも、迅速な処理につながるため、相手への配慮としても大切な工夫といえます。

適切な担当者へ確実に届けるため

  • 請求書は、支払期日や金額といった重要情報を含むため、経理担当者など適切な部署に正確かつ早く届くことが求められます。「請求書在中」と書かれていれば、郵便物の仕分けを行う担当者が内容を把握し、経理部門など必要な部署へ優先的に渡すことができます。これにより、誤って他部署に回されることを防ぎ、支払い遅延などのトラブルを未然に防止できます。

ビジネスマナーとして浸透しているため

  • 「請求書在中」という表記には「重要書類が入っているので丁寧に扱ってほしい」という送り手の配慮が込められています。こうした心遣いは、相手に対する信頼感や誠実さを伝えるビジネスマナーの一つです。多くの企業で慣例的に行われているため、何も書かれていない封筒を送ると、場合によっては「マナーが欠けている」と受け取られるおそれもあります。

    記載方法としては、封筒の左下に青色のペンで手書きするか、「請求書在中」と印字されたスタンプを押すのが一般的です。こうした小さな心配りが、取引先との良好な関係を築く第一歩となります。

「請求書在中」の正しい記載方法

  • 封筒に「請求書在中」と記載する際は、相手にとって見やすく、内容がすぐに判断できるようにすることが大切です。記載位置や文字の色には一定のマナーがあり、これを守ることで、丁寧で信頼感のある印象を与えることができます。手書きでもスタンプでも構いませんが、以下のポイントを押さておくと安心です。

記載する位置

  • 封筒の向きによって「請求書在中」を書く位置は異なります。宛名や住所の文字と重ならないよう、余白部分に小さめの文字で記載しましょう。

    〇縦書き封筒の場合

    縦書き封筒では、表面の左下部分に縦書きで「請求書在中」と記載します。宛名よりも少し小さい文字で書くのが一般的です。左下は受取人の目に留まりやすく、また宛名欄の邪魔にならないため、もっとも見やすく整った印象になります。手書きの場合は、四角い枠で囲むとより丁寧です。

    〇横書き封筒の場合

    横書き封筒では、表面の右下部分に横書きで「請求書在中」と記載します。こちらも宛名より小さめの文字で書き、バランスを整えましょう。右下に配置することで宛名との区別がつきやすく、受け取る側が一目で内容を把握できます。

記載する色

  • 「請求書在中」に使用する色に明確な決まりはありませんが、青色を使うのがビジネスマナーとして一般的です。青色は黒色の宛名と区別がつきやすく、金銭関連の書類としても落ち着いた印象を与えます。

    一方、重要な書類であることを示すために赤色が使われることもありますが「赤字決算」を連想させることから、請求書関連の封筒では避けたほうが無難です。

「請求書在中」は手書きするべき? スタンプや印刷はOK?

  • 封筒に「請求書在中」と記載する方法には、手書き・スタンプ・印刷の3つがあります。どの方法を選んでもマナー違反にはなりませんが、それぞれにメリットとデメリットがあり、送付枚数や状況に応じて使い分けることが大切です。重要なのは、相手にとって一目で内容がわかるように、見やすく丁寧に記載することです。

手書き

  • 手書きは、もっとも丁寧な印象を与える方法です。1通ずつ気持ちを込めて書くことで、相手への誠意や心遣いが伝わりやすくなります。特に取引先との初めてのやり取りや、少量の請求書を送る場合には効果的です。

    手書きは丁寧で温かみのある印象があり、信頼感を抱いてもらいやすいというメリットがあります。ただし、複数枚を作成する際には手間がかかり、時間的な負担が大きくなる点はデメリットです。

スタンプ

  • スタンプ(ゴム印)は、見た目が整っており効率的です。手書きよりもスピーディーで、封筒のデザインも統一できるため、日常的に請求書を郵送する企業でよく使われます。

    スタンプのメリットは、手書きと比べて作業が早く、文字が均一で美しいことです。一方、やや事務的な印象を与えてしまう可能性はあります。

印刷

  • 印刷は最も効率的で、大量の封筒を扱う場合に向いています。宛名印刷と同時に「請求書在中」を印字すれば、作業を大幅に省力化できます。請求書発送をシステム化している企業では一般的な方法です。

    ルーティン化されていれば、印刷は最も効率的で、作業時間を大幅に削減できます。ただし、数枚分だけを印刷する場合はかえって準備に手間がかかるため注意が必要です。

請求書を送付する際のマナー

  • 請求書は金銭のやり取りに関わる重要な書類であり、単に送ればよいというものではありません。受け取る相手に対して丁寧で信頼感のある印象を与えるためには、送付状の添付・封字の記載・書類の保護といった基本的なマナーを押さえることが大切です。

    以下で、それぞれのポイントを詳しく解説します。

送付状を添える

  • 送付状(添え状)は、封筒の中身を説明するための案内文書です。請求書だけを封筒に入れるよりも、何が送られてきたのかを明確に伝えられ、相手に安心感を与えます。

    記載項目の例は以下の通りです。

    ● 送付年月日
    ● 宛先(担当者名を含む)
    ● 差出人情報(会社名・部署名・担当者名)
    ● 件名(例:「請求書送付の件」)
    ● あいさつ文(例:「平素よりお世話になっております。」など)
    ● 同封内容(例:「請求書1通」)

    封筒に入れる際は、送付状を一番上に重ねるのが基本です。

    なお、郵送時は送付状を添えるのが一般的ですが、メール送信の場合は別紙として添付する必要はなく、メール本文に同等の内容を記載すれば十分です。

封字を記す

  • 封字とは、封筒の糊付けした部分に書く「〆」や「封」「緘(かん)」といった文字のことを指します。これには、「封が開けられていない=未開封である」という意味があり、相手に丁寧で正式な印象を与えます。

    主な封字の種類と意味は以下の通りです。

    封字 使い方
    〆(しめ) 最も一般的で、日常的なビジネス文書に広く使われる。
    封(ふう) やや改まった印象を与える表現。
    緘(かん) 「固く閉じる」という意味で、最も丁寧な印象を与える。

    封字の記載位置は封筒の裏側、糊付けして閉じた中央部分です。手書きでも印刷でも構いません。請求書は信書(正式な文書)に該当するため、封字を記すことで慎重に取り扱っていることを相手に示すことができます。

クリアファイルで書類を保護する

  • 請求書をそのまま封筒に入れると、郵送中に折れたり、雨などで濡れたりするおそれがあります。こうしたトラブルを防ぐために、クリアファイルに入れてから封筒に入れるのがビジネスマナーです。

    クリアファイルは、書類を水濡れや折れから守るだけでなく、取り出しやすく、見た目も整っているため、受け取る相手に丁寧で誠実な印象を与えます。特に、初めて取引する企業や、金額の大きな請求書を送る場合は、このひと手間が信頼につながります。

「請求書在中」の記載に関するよくある質問

  • 封筒に「請求書在中」と記載するのは、ビジネスマナーとして一般的に行われています。しかし、「うっかり書き忘れた場合はどうなるのか」「請求書以外にも必要なのか」「封筒のサイズにルールはあるのか」など、実際の現場では迷うことも多いでしょう。

    ここでは、よくある疑問をわかりやすく解説します。

記載を忘れたらどうなる?

  • 「請求書在中」の記載は法律上の義務ではありません。そのため、たとえ記載を忘れても罰則が科されることはなく、請求書そのものの効力が失われることもありません。

    ただし、実情としては次のようなリスクが考えられます。

    ● 郵便物の多い企業では、中身が不明な封筒は後回しにされやすく、経理担当者に届くまでに時間がかかる可能性がある
    ● 郵便物の仕分け担当者が内容を判断できず、別部署に回されてしまう可能性がある
    ● 「請求書在中」の記載がないと、ビジネスマナーに欠ける印象を与え、相手の信頼を損ねる可能性がある

    このように、法的な問題はなくても、取引先との信頼関係や事務処理の円滑さを保つためには「請求書在中」と明記することが望ましいといえます。

請求書以外でも「在中」を記載すべき?

  • 「在中」という表記は、封筒に重要書類が入っていることを伝えるサインです。そのため、請求書以外でも、相手に迅速かつ正確に届けたい書類を送る際には積極的に使用します。

    主な例としては以下の通りです。

    納品書在中 商品の内容確認に必要な書類で、経理や担当部署への迅速な伝達が求められます。
    見積書在中 商談内容や金額に関わる重要な書類で、ビジネス交渉に直結します。
    履歴書・応募書類在中 採用関係の重要書類であり、採用担当者がすぐ確認できるようにするための配慮です。
    重要書類在中 内容を限定せず、契約書や申請書などを送る際に使われます。特に関係者以外に開封されたくない場合に有効です。

    このように、「在中」は中身の種類や重要度を明確にする表現であり、円滑なやり取りを支えるビジネスマナーの一つといえます。

    封筒のサイズに決まりはある?

    「請求書在中」を記載する封筒に、法律上のサイズ規定はありません。しかし、ビジネス文書では次の2種類のサイズが広く使われています。

    サイズ 特徴
    長形3号(長3) A4用紙を三つ折りにして入れるのに適したサイズ。定形郵便として扱われ、コストを抑えられる。
    角形2号(角2) A4用紙を折らずにそのまま入れられるサイズ。請求書に加え、契約書やパンフレットなど複数の書類を同封する場合に便利。

    書類の内容や枚数によって適切なサイズを選ぶことが、見た目の整った印象と安全な郵送につながります。必要に応じて、クリアファイルに入れてから封入するなど、書類保護の工夫も併せて行いましょう。

まとめ

  • 封筒に「請求書在中」と明記することは、単なる形式以上の意味を持ちます。受取側が内容を即座に把握でき、経理担当者への迅速な回付を助けることで、支払い遅延や誤配送といったトラブルを防止できます。また、「請求書在中」という表示には、相手への配慮や信頼を示すビジネスマナーとしての価値もあります。手書き・スタンプ・印刷のいずれを使う場合でも、記載位置・文字の色といった基本ルールを守ることが、見やすく丁寧な印象を与える鍵になります。

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●コラム執筆者
クラウド販売管理システム s-flow
  • クラウド販売管理システム【s-flow】コラム編集部
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