コラム ビジネスにクラウドシステムが不可欠な理由とは?メリットや導入ポイントを解説

クラウドシステムは、テレワークやDX推進に欠かせない存在となり、業務効率化やコスト削減、災害対策にも効果を発揮します。本記事では、クラウドの導入メリットや代表的なサービスモデル(SaaS・PaaS・IaaS)、提供形態の違い、選定ポイントを分かりやすく解説します。

  • 近年、多くの企業がクラウドシステムを活用して業務効率化や生産性向上に取り組んでいます。クラウドはもはやビジネスになくてはならないツールとなっており、テレワークやDXの推進に伴い、いつでもどこでも使えるクラウドの必要性が一段と高まっています。

    本記事では、なぜ今クラウドシステムがビジネスに不可欠なのかを解説し、その圧倒的なメリット、種類と選び方、さらに主要なクラウドサービスや活用例、導入時の課題と対策まで詳しく紹介します。クラウド活用による業務効率化を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

なぜ今、クラウドシステムがビジネスに不可欠なのか

  • クラウドシステムがビジネスに不可欠とされる背景には、働き方や経営環境の変化があります。社内システムをクラウド化する企業は年々増加しており、総務省の最新データでも「一部でもクラウドサービスを利用している」企業が約7割に達しています(※)。

    こうした急速な普及の背景には、ビジネス環境の大きな変化があります。例えば、新型コロナ禍を契機としたテレワークの普及や働き方の多様化により、社外から社内データにアクセスできる柔軟なIT基盤が求められました。クラウドを活用すれば、インターネット経由で業務システムやデータにいつでも・どこからでもアクセスできるため、リモートワーク時代の強力な味方となります。

    さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進もクラウド導入を後押ししています。クラウドは自社サーバーを持たずに必要なIT資源を使えるため、新サービス展開のスピード向上や業務効率化に直結します。社内業務のクラウド移行(いわゆる「クラウドDX」)は投資対効果が高い取り組みとされ、多くの企業がバックオフィス業務をはじめとする、さまざまな領域でクラウド化を進めています。

    ※参考:総務省.「企業におけるクラウドサービスの利用動向」. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242140.html , (参照 2025-08-21).

クラウドシステムがビジネスにもたらす主なメリット

  • 続いては、クラウドシステムを導入することで企業が得られる主なメリットを解説します。

設備購入費やランニングコストを抑えやすい
  • クラウドサービスは自社でサーバー等を購入・設置する必要がなく、導入コストを大幅に抑えられるメリットがあります。オンプレミス(自社設置型)と異なり、設備購入費が不要なうえ、利用料も従量課金制が一般的で、企業規模や利用量に応じて無駄なく最適化できます。また、サーバー保守・運用はクラウド事業者が担うため、自社IT部門の管理負荷や人件費も削減可能です。このように初期費用の低さと保守運用コストの軽減は、クラウド導入効果として多くの企業が実感しています。

場所を問わずにアクセスできる
  • クラウド上にシステムやデータを置くことで、インターネット接続さえあれば社内外どこからでもアクセスできます。これによりテレワークなど多様な働き方に対応でき、拠点間の情報共有もスムーズになります。たとえばクラウドストレージを使えば、従業員は自宅や出先から必要なファイルにアクセス・共同編集でき、生産性が向上します。

    また、クラウドはモバイルデバイスからの利用とも相性が良く、営業担当者が移動中に最新の顧客情報を確認するといった機動力ある働き方も実現します。場所や端末を選ばない高い利便性が、現代ビジネスのスピードに対応した柔軟な運用を可能にします。

柔軟に規模を拡大できる
  • 必要に応じてリソースを増減できるのもクラウドの強みです。例えば、事業拡大でアクセスやデータ量が急増しても、クラウドならサーバー台数やストレージ容量を即座にスケールアップできます。ビジネスの成長や変化に合わせてIT基盤を柔軟に拡張できるため、機会損失を防ぎつつコスト最適化も図れます。

    また新サービスを開始する際にもクラウド環境なら短期間でシステムを立ち上げ可能です。物理サーバー調達や設置の時間を要しない分、市場への迅速な展開や開発スピードの向上につながります。ガートナーも「急速に変化する経済状況に対応するにはクラウドの柔軟性・拡張性がビジネスに必要」と指摘しており、環境変化に即応できるスケーラビリティは大きなメリットです。

災害やサイバー攻撃によるリスクを抑えられる
  • クラウド活用は事業継続計画(BCP)の強化にも有効です。重要データをクラウド上にバックアップしておけば、万一オフィスのサーバーが災害で被災してもデータを失わずに済みます。

    クラウド事業者は堅牢なデータセンターで冗長化や厳重なセキュリティ対策を施しているため、自社で対策するより高い安全性を確保しやすい点もメリットです。常に最新のセキュリティアップデートが適用されるクラウドサービスを使うことで、サイバー攻撃リスクの低減やバックアップ自動化による安心感が得られます。

クラウドシステムの提供形態

  • クラウドシステムは提供形態によっていくつかの種類に分類できます。代表的なのは「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」「ハイブリッドクラウド」の3形態です。自社システムをどの形式で運用するかによって、コストやセキュリティ、運用方法が異なります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。

パブリッククラウド
  • クラウド事業者が不特定多数のユーザーに向けて提供するクラウド環境です。インターネット上のサービスに申し込むだけで即座に利用を開始できる手軽さが魅力で、サーバーなど基盤の管理はすべて提供側が行います。

    CPUやメモリ等のリソースは複数ユーザーで共有するため利用効率が高く、初期費用や運用の人的リソースを低く抑えられるのがメリットです。ユーザー登録後、数クリックで必要な仮想サーバーを立ち上げられるなど利便性が高いため、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。

プライベートクラウド
  • 特定の企業専用に構築されたクラウド環境です。他のユーザーとは完全に分離された独立環境であり、オンプレミス(自社設置)型やホスティング型などの形態があります。物理サーバーやデータセンター設備も共有しないため、自社のセキュリティポリシーに沿った厳格な設定が可能で、高度な信頼性やセキュリティが求められるシステムに適しています。

    一方で、自社専有となる分コストはパブリックより高めで、リソースの拡張性も契約範囲内に限られます。金融機関の基幹系システムなど、機密性や安定性を重視する場合によく採用される形式です。

ハイブリッドクラウド
  • パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせて利用する形態です。システムごとに特性を見極め、例えばコストを重視したい業務システムはパブリッククラウド、信頼性や性能が重要な基幹システムはプライベートクラウドに置くといった使い分けを行います。

    また、既存のオンプレミス環境とクラウドを併用し連携させるケースも含めてハイブリッドクラウドと呼ばれます。ハイブリッド型により柔軟な最適化が可能になりますが、その分構成管理が複雑になるため、統合管理ツールの利用やクラウドに精通した人材の確保が成功のポイントです。

    近年は複数のパブリッククラウドを用途に応じて使い分ける「マルチクラウド」戦略も登場しており、自社に最適なクラウド利用形態を検討すると良いでしょう。

クラウドシステムの代表的なサービスモデル

  • クラウドシステムを上手に活用するには、その種類を正しく理解し、自社に合ったサービスを選定することが重要です。クラウドと一口に言っても提供形態やサービスモデルによっていくつかの種類があります。ここでは代表的なクラウドサービスの種類について解説します。

SaaS(Software as a Service)
  • インターネット経由でアプリケーションを提供するクラウドサービスです。利用者はソフトをインストールせずブラウザなどで必要な機能を使えます。

    例えば、メールやオフィスソフト、オンラインストレージなど、従来パソコンにインストールしていたツールをクラウド上で利用できる形態です。最も手軽に導入できるクラウドとも言われ、一般に「クラウドサービス」と言えばSaaSを指すことが多いです。

PaaS(Platform as a Service)
  • インターネット経由でアプリケーション開発用のプラットフォームを提供するサービスです。開発に必要なOSやミドルウェア、データベース等の環境一式をクラウド上で利用できます。開発環境構築の手間が省け、期間やコストを抑えられるため、自社でソフトウェア開発を行う場合に適しています。

    AWSの開発環境やGoogle App EngineなどがPaaSの代表例です。

IaaS(Infrastructure as a Service)
  • サーバーやネットワークなどITインフラそのものを必要なときに提供するクラウドサービスです。これを使えば、自社にハードウェアを置かずともクラウド上に自由にサーバー構成を構築できます。自社専用のIT基盤を仮想的に構築できる自由度が特徴で、大規模システムや細かな構成管理が必要な場合に適しています。

    代表例として、AmazonのAWSやMicrosoft Azureなどが挙げられます。

クラウドサービス選定のポイント

  • 次に、数あるクラウドサービスから自社に最適なものを選ぶためのポイントを押さえておきましょう。クラウド導入で失敗しないためには、サービスの種類だけでなく提供企業やプランの違いにも目を向ける必要があります。

導入目的を明確にする
  • 漠然とクラウドを導入しても効果は上がりません。まず「なぜクラウド化するのか」目的を明確化し、それに合ったサービスを選ぶことが大切です 。

    例えば「業務効率化」「保守負担の軽減」「コスト削減」など企業により目的はさまざまですが、目的が曖昧なままだと機能や規模が合わないサービスを選んでしまい、クラウド化しても思うような成果が出ない恐れがあります。導入前に社内で方向性を統一し、目的に直結するクラウドサービスを絞り込みましょう。

自社ニーズに合ったサービスモデルを選ぶ
  • 前述のとおりクラウドにはSaaS/PaaS/IaaSの種類がありますが、利用目的によって選ぶべきモデルが異なります。たとえば「すぐ使える業務アプリケーションが欲しい」ならSaaS、「自社向けにカスタマイズして開発したい」ならPaaSやIaaSが適しています。

    また、クラウドの提供形態(パブリック/プライベート)の違いも考慮しましょう。一般公開された共有リソース型のパブリッククラウドか、専用環境を構築するプライベートクラウドか、あるいは両者を組み合わせるハイブリッドクラウドか、自社システムに求められる信頼性やコストに応じて選択します。

    例えば低コスト重視のシステムはパブリッククラウド、信頼性やセキュリティ重視のものはプライベートクラウドといった使い分けも有効です。自社の業務内容・規模・求める水準に照らして、最適な種類のクラウドサービスを選定しましょう。

セキュリティ対策と費用のバランスを確認
  • 候補のクラウドサービスごとにセキュリティ水準や費用体系を比較検討することも重要です。クラウド事業者によってデータ暗号化やアクセス制御などの対策レベルは異なるため、自社の情報資産を預けるに足る体制か確認します。

    また、基本料金だけでなく追加ストレージ費用やサポート費用など隠れたコストも含めて長期的視点で見積もることが必要です。オンプレミスとクラウドの課金形態の違いにも注意し、総合的に判断しましょう。

既存システムとの連携と運用サポート
  • クラウドを導入する際には、今使っている社内システムとのデータ連携が可能かも重要な検討ポイントです。クラウド上で他システムと連携できれば、情報の一貫性や業務プロセスの効率化が図れます。一方、連携が難しいとクラウド化のメリットが半減してしまうため、API連携やデータ移行の容易さを確認しましょう。

    また、運用開始後のサポート体制もチェックが必要です。クラウド事業者のサポート内容を把握し、必要に応じて信頼できる導入パートナーを選ぶことも大切です。社内にクラウドの知見が乏しい場合は、導入前に担当者への研修を行い、スキル不足を補うといった対策も検討しましょう。

まとめ

  • クラウドシステムは、コスト削減・柔軟な拡張性・災害対策など多くのメリットを持ち、リモートワークやDX推進に欠かせない存在となっています。パブリック・プライベート・ハイブリッドといった提供形態やSaaS/PaaS/IaaSといったサービスモデルを理解し、自社の目的やニーズに合った選定を行いましょう

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