コラム 販売管理・売上分析に最適なクラウド型BIツール5選|選定ポイントも解説

投稿日:2023/12/11
最終更新日:2025/10/22

BIツールとは、日々蓄積したデータの分析や加工を行うことで、意思決定や業務に役立てるツールです。オンプレミス型とクラウド型があり、特に後者は低コストかつ簡単に導入・運用できます。BIツールで販売管理・売上分析を行うメリットや、おすすめのクラウド型BIツールを5つ解説します。

BIツールとは

  • BIツールとは、日々の業務で蓄積したデータの統合・分析・加工を行うことにより、経営の意思決定や業務の遂行に役立てるツールです。

BIツールの機能

  • 主な機能は以下のとおりです。

    概要 できること
    データの収集・蓄積・統合 ・社内の販売・在庫・顧客管理システムなどと連携
    ・部署や店舗間のデータを統合・一元管理
    データの集計・分析 ・膨大なデータから重要情報のみを抽出
    ・OLAP分析などにより、売上や生産量等のデータを多角的に分析
    データの可視化 ・データや分析結果をもとにした、売上や費用等の予測
    ・分析結果を見やすいグラフや表として表示

BIツールの種類

  • BIツールには2種類あります。基本的には、導入・運用の容易さや初期費用の安さから、クラウド型がおすすめです。

    種類 オンプレミス型 クラウド型
    概要 自社サーバーを用意し、そこにインストール クラウド上でデータを管理し、インターネットを介して利用
    メリット ・セキュリティに秀でている
    ・柔軟な設定が可能
    ・迅速に導入可能
    ・初期費用が安い
    ・運用負担が小さい
    デメリット ・初期費用が高い
    ・ネット環境や端末の性能に依存
    ・カスタマイズ性に劣る
    ・ユーザー数増加がコスト増に直結

BIツールで販売管理・売上分析を行うメリット

  • BIツールを使う3つのメリットを、Excelにより手動で行う場合と比較して解説します。

データ収集・分析にかかる時間や労力を減らせる

  • BIツールでは、販売・在庫管理システムなどに蓄積されるデータを統合し、一元的に管理できます。また、分析やグラフ等による可視化もシステムが行います。

    データの整理・分析・可視化の手作業が減ることで、販売管理や売上分析などにかかる時間や労力を大幅に削減可能です。

リアルタイムでの状況把握が可能

  • BIツールでは、部門・店舗間のデータを統合し、その集計・分析結果をグラフ等で表示します。一目で売上推移などの現状を把握できるため、意思決定の迅速化や業務の効率化を期待できます。

    また、BIツールでは自動的に最新データへと更新されるため、各部門や店舗がリアルタイムで売上等の現状や課題等を把握できるでしょう。

分析の精度が高まる

  • 基本的にBIツールでは、高度な分析機能を使用できます。関数等の知識が必要となるExcelと異なり、誰でもドラッグ等の簡単な操作のみで高度な分析を行えます。

    分析精度の向上により、意思決定や業務の品質向上も見込めます。

    ここで、データ分析の種類について、いくつか簡単にご紹介します。

 クロス集計分析

  • クロス集計分析とは、集めたデータを2つ以上の分析軸を掛け合わせてデータを集計し、グループ間の傾向の違いや相関関係を明らかにする手法です。

    アンケートの結果を年代と性別に分けて表にしたり、売り上げを顧客と商品分類で集計したり、複数の軸を用いて集計・分析します。

    これにより、単純集計では見えなかった傾向を発見しやすくなります。

 クラスター分析

  • 混在しているデータの中から、似たもの同士をグループ(クラスター)に分けて分類する統計的な手法です。

    データの持つ性質に基づいて未知のグループ構造を発見するために使われます。

    市場調査や顧客のセグメンテーションに活用され、より的確なマーケティング施策を立てるのに役立ちます。

 ABC分析

  • 売上やコストなどの指標で商品をA・B・Cの3つのランクに分類し、重要度に応じて管理する手法です。

    売上の大部分を占めるAランクの商品に経営資源を集中させ、非効率なCランクの商品の取り扱いを見直すなど、優先順位をつけて管理することで、在庫の最適化やコスト削減、効率的な経営戦略の立案に役立ちます。

 アソシエーション分析

  • 大量のデータから「ある事象が起きたとき、別の事象も同時に起こる」という関連性(ルール)を発見するデータマイニング手法です。

    特に、小売業における「バスケット分析」が有名で、「ビールを買う顧客は総菜も一緒に買う傾向がある」といった、商品の併売パターンを分析し、マーケティング施策に活用します。

 因子分析

  • 分析対象を多数の項目で測定・評価したデータから、その背後にある「潜在的な因子(原因)」を分析する統計的手法です。

    例えば、複数の科目(国語、数学など)の成績の相関から「学力」という共通の因子を推定したり、アンケート結果から消費者の「隠れた意識」を分析したりするために利用されます。

    多くのデータを少数の因子に要約することで、データの構造を簡潔に把握できるのがメリットです。

 ロジスティック回帰分析

  • 多変量解析の一つで、ある特定の事象が起きる発生確率を予測する分析方法です。

    例えば、複数の価格、複数のカラー、ネット・実店舗など販売箇所などのいくつもの要素から顧客がもっとも商品を購入する可能性が高い要素を分析します。

BIツールの比較基準・選ぶポイント

  • BIツール選定の基準は、操作性、サポート体制、価格(予算)の3つです。

操作性

  • 画面の操作性は製品ごとに違います。たとえば分析レポートが見づらかったり、ダッシュボードが操作しづらかったりすると、無駄なコスト増加や生産性低下を招きます。

    対策として、無料トライアル期間や無料プランを活用し、BIツールの操作性を確かめることが重要です。

サポート体制

  • 様々なことを行えるBIツールですが、最初から全機能を使いこなすのは困難です。使い方がわからない場合には、製品の提供会社からサポートを受ける必要があります。

    サポートが不十分だと、使いこなすのを諦めてしまう事態につながります。対策として、サポート体制が万全な会社のBIツールの導入がおすすめです。具体的には、サポート体制の営業時間や費用の発生有無、お問い合わせの方法、マニュアルの充実さなどを確認しましょう。

価格(予算)

  • 製品によって料金プランは異なるため、以下の内容を踏まえた上で、予算を踏まえて入念に検討しましょう。

    ・初期費用はいくらか
    ・課金方式(定額なのか従量課金なのか)
    ・従量課金の場合、ユーザー数とデータ量のどちらが基準となるのか
    ・導入・運用コストに対して、自社の課題解決につながる機能が十分に搭載されているか

おすすめのクラウド型BIツール5選

  • 販売管理や売上分析におすすめのクラウド型BIツールを厳選して5つ紹介します。なお、米ドルで表示されている費用(料金)に関しては、2023年12月初旬時点における為替を参考にしています。

Microsoft Power BI

  • Microsoft社が提供するBIツールです。

ツールの特徴

  • 主に、以下の特徴があります。

    ・ExcelなどのWebアプリや販売管理ツール(s-flowなど)と連携し、データを取り込める
    ・Copilotにより、ノーコードでレポートの説明文作成や情報分析、視覚化を実現
    ・自社や提携先などとレポートやダッシュボードを共有し、閲覧や分析、作業が可能
    ・強力なアクセス許可の制御や二重暗号化などによる強固なセキュリティ
    ・3年間で381%という投資利益率(ROI)を実現しており、収益向上への直結が期待できる

    特にMicrosoft Power BIをおすすめする理由として、1つ目の特徴が挙げられます。たとえば販売管理ツールでは、日々の販売管理(出荷や請求、発注)を効率化できます。そんな販売管理ツールとMicrosoft Power BIの連携により、売上や収益をグラフ化し、いつでもPCやスマートフォンなどから自社の経営状況や課題などを手軽に確認できるようになります。

    つまり、販売管理ツールとMicrosoft Power BIの連携により、日々の業務から売上分析、その後の意思決定までの業務を一貫して効率化できるのです。販売管理ツールは様々ありますが、トライアル期間中にMicrosoft Power BIを無償でお試しできる” s-flow”がオススメです。

費用

  • 3つの料金プラン(ライセンス)が用意されており、それぞれ使用できる機能は異なります。

    プラン名 機能 月額料金(1ユーザー)
    無料プラン レポート作成やデータ分析、レポート閲覧 無料
    Power BI Pro 無料プランの機能に加えて、レポート・ダッシュボードの公開、最新のセルフサービス分析など 1,250円
    Power BI Premium Power BI Proの機能に加えて、高度なAIやXMLAの読み書きなど、メモリサイズも拡大 2,500円

    また、上記とは別に組織単位で利用できるプラン(624,375円〜)も用意されています。

サポート体制

  • Microsoftサポートでのお問い合わせ窓口の他、Power BIコミュニティやFabricサポートなどの体制があります。

Tableau Cloud(旧Tableau Online)

  • Tableau Software社が提供するBIツールです。

ツールの特徴

  • 主に、以下の特徴があります。

    ・検索窓への質問入力により、回答をグラフなどの見やすい形式で表示してもらえる
    ・モバイルアプリを使うことで、スマホからいつでも容易に利用できる
    ・SlackやGoogleアナリティクスをはじめとした様々なサービスに接続可能

費用

  • 3つの料金プラン(ライセンス)が用意されており、それぞれ使用できる機能は異なります。

    プラン名 機能 月額料金(1ユーザー)
    ※年間契約
    Viewer クラウド上でデータ、分析結果を閲覧 15ドル(約2,200円)
    Explorer クラウド上でデータの編集、分析、結果の共有 42ドル(約6,200円)
    Creator データの収集、加工、分析、共有などのデータ分析全般 75ドル(約11,000円)

    ※Tableau自体を使うために、Tableau Creatorのライセンスが最低1つ必要となります。なお、無料トライアルのプランがあるため、お試し利用が可能です。
    ※3つのプランとも年間契約で発生する料金となります。

サポート体制

  • 公式サイト内で、よくある質問への回答や操作方法のマニュアル(ナレッジベース)が公開されています。また、お問い合わせページも用意されています。

Amazon QuickSight

  • Amazon Web Services社が提供するBIツールです。

ツールの特徴

  • 主に、以下の特徴があります。

    ・AWSの機械学習と自然言語機能による高度なデータ分析が可能
    ・計算エンジンである”SPICE”により、数千人規模のユーザーが同時かつ高速で利用可能
    ・日本語やドイツ語などの主要10言語で利用できる

費用

  • 2つの料金プランが用意されており、それぞれ使用できる機能は異なります。

    プラン名 機能 月額料金(1ユーザー)
    Standard Edition 1ユーザーあたり10GB(課金による追加あり)のSPICEキャパシティーで、ダッシュボードの作成や公開が可能 年間契約:9ドル〜(約1,320円〜)
    月額契約:12ドル〜(約1,760円〜)
    Enterprise Edition(作成者/管理者) ダッシュボードの作成や共有、閲覧等が可能 年間契約:18ドル〜(約2,640円〜)
    月額契約:24ドル〜(約3,520円〜)

    また、Enterprise Editionには閲覧者向けの料金プランもあります。
    こちらは、1セッションあたり0.3ドル、最大で月5ドル(約730円)の費用がかかります。

    上記以外にも、キャパシティ料金やQuickSight 埋め込み料金などが細かく設定されています。その他の料金プランは公式サイトで確認できます。

サポート体制

  • 公式サイトにトラブルシューティングのページがあります。また、ユーザーコミュニティやAWSフォーラムでのサポートも期待できます。

MotionBoard Cloud

  • MotionBoard Cloudは、WingArc1st株式会社が提供するBIツールです。

ツールの特徴

  • ・地図機能の活用により、地域ごとの傾向や商圏分析などが可能。
    ・Excelのインターフェイスに遷移した上でのデータ分析や、Excelでのデータ更新が可能。
    ・業界に応じたデータの可視化機能が搭載されている。(製造業ではガントチャートなど)

費用

  • 4つの料金プランが用意されており、それぞれ使用できる機能は異なります。

    プラン名 機能 月額料金(10ユーザー)
    Entry Edition 集計表のみでデータを表示・分析 15,000円〜
    Standard Edition ダッシュボードの作成やリアルタイムアラートなどの機能 30,000円〜
    Professional Edition Standardに加えて、多様な外部サービスやデータベースとの接続など 60,000円〜
    loT Edition Professionalに加えて、リアルタイム用APIとの連携など 90,000円〜

    また、上記とは別に初期費用として100,000円かかります。無料トライアルの期間として30日利用できます。

サポート体制

  • お問い合わせ窓口への相談やカスタマーサクセスサイト(FAQや技術Tipsなど)、専任スタッフによるサポート(対面あり)などを無償で利用できます。

Yellowfin

  • Yellowfinは、Yellowfin Japan株式会社が提供するBIツールです。

ツールの特徴

  • 主に、以下の特徴があります。

    ・シグナル機能により、手作業では見逃す重要なデータの変化を通知してくれる
    ・自然言語で質問をすると、自動的に分析結果をグラフや説明文を用いて提示してくれる
    ・Webアプリケーションやデータベース、スプレッドシートなど、多種多様なデータソースに接続できる。

費用

  • 公式サイトに明確な記載がないため、見積もりの依頼が必要です。なお、30日間の無料トライアルが用意されています。

サポート体制

  • 専属スタッフによるサポートがついています。また、ユーザーコミュニティやナレッジコンテンツ、サポートポータルなどの体制も充実しています。

おすすめクラウド型BIツールのまとめ

  • クラウド型BIツールでは、販売管理や売上分析などの業務を効率化したり、経営の意思決定に役立てる情報を得たりできます。
    機能や操作性などはBIツールごとに異なるため、サービス毎にどのような形式の結果を得られるかを確認しましょう。特に何のためにデータ分析を行うか、自社の目的を明確にすることが大切です。
    費用やサポート体制の他にも自社の課題や現場での使用感(操作の簡単さ)、予算などをもとに選定することがオススメです。

    BIツールとの連携には、クラウド販売管理システム「s-flow」がおすすめです。
    売上集計表のデータを「PowerBI」ツールと連携することによって、商品の売上や収益をグラフ化することができます。
    多忙な管理職や経営者の方でも、移動時間にスマートフォンやタブレットから自社の経営状態を把握できるので非常に便利です。

●コラム執筆者
クラウド販売管理システム s-flow
  • クラウド販売管理システム【s-flow】コラム編集部
  • s-flowのコラムでは、販売管理・受発注管理・在庫管理・入出金管理をはじめとした各業務や管理に関連する「お役立ち情報」をご紹介しております!