コラム 販売管理システム導入に失敗する原因と対策

商品を販売するための業務である受注、出荷、入金、発注、仕入、支払、在庫などの一連の流れを管理できる「販売管理システム」。うまく活用することで、企業全体におけるトータルコストの削減や業務効率の向上が期待できます。

しかしながら、なかには適切に導入できなかったために失敗してしまう企業も存在します。そこで本記事では、販売管理システムの導入に失敗する代表的な5つの原因と、具体的な対策を解説します。

販売管理システムの導入自体が目的化している

  • 販売管理システムを導入する際、新たな作業や課題に対応していると、知らず知らずのうちにシステム導入という手段そのものが、自己目的化してしまうケースがあります。

    販売管理システムの導入そのものが目的化していると、本来の目的に振り返ることなく、新しいシステムに多くのことを対応させようとしたり、既存システムとまったく同じことをさせようとしてしまいがちです。その結果、不必要に追加費用が発生したり運用が煩雑化したりするなど、当初の予定とは大きく異なった方向に進んでしまうことがあります。

    このように販売管理システムを導入する本来の目的を見失っていると、システム選定の段階で判断を誤ったり、導入後の運用が回らなくなったりする事態に陥ります。

対策

  • まず導入に際して重要なのは、「何のためにシステムを導入するのか」という目的を明確にすることです。これがあるか否かで、導入の成否を大きく左右します。

    ただし「業務の効率化」という名目では、まだ漠然としています。現在どのような課題を抱えていて、どの業務を効率化するのかなどを明らかにし、目的を具体化しておく必要があります。

    そもそも販売管理システムは、導入しさえすれば良い万能薬ではありません。システム導入による既存業務やワークフローの変化を見据えながら、適切な導入をすることで大きな恩恵を享受できます。

自社や現場運用にマッチしていない

  • 販売管理システムを導入する前に、自社の業務フローや必要な機能、前提(商品の管理やマスタの種類など)を把握していないと、自社に適さないシステムを選定してしまう可能性が高まります。

    もし自社にマッチしていないシステムを選んでしまうと、自社の業務フローに合わせられなかったり、商品の管理(ロット番号や消費期限ごとの在庫管理など)ができなかったりするなど、業務効率の向上どころか、むしろ低下を招く事態につながりかねません。結果的に、余計な手間や時間が増すケースもあるでしょう。

対策

  • 販売管理システムの導入を成功させるには、まずは自社の業務フローや必要な機能、欠かせない前提などを洗い出しておくことです。そのうえで、それらを網羅しているシステムを選ぶことが重要です。クラウド型の場合、表面上は機能が足りなくても実際は必要な機能を満たしていることが少なくありません。システムの選定をする際には管理や機能、運用の方法について、直接問い合わせを行うこともお勧めします。

販売管理システムの使用感を把握していない

  • 優れた販売管理システムを導入しても、必ずしもそれが使いやすいとは限りません。どれほど高機能・多機能な販売管理システムであっても、それが使いにくかったり、正しく使えなかったりすれば、導入は失敗に終わりやすくます。

    また感触を確かめずに導入を進めた結果、使ったのは最初だけで、最終的には使わなくなってしまった(使いこなせなかった)という失敗例もあります。システムの機能ばかりを重視するあまり、操作性を軽視していると、全体における業務効率の向上は期待できなくなります。

対策

  • 導入する前に、システムの管理画面を実際に使ってみましょう。可能なら、本部やバックオフィスの社員だけでなく、現場社員にも使用感を試してもらうことをおすすめします。サービスによっては無料トライアルや体験を提供していますので、そうした機会を積極的に活用しましょう。

    またベンダー側のサポート体制に関しても、事前に確認しておくことが望ましいです。具体的には、サポートの手段(メール、電話、チャットなど)は何があるのか、サポートの対応時間はいつなのか、無料でどこまで対応できるのか、などが挙げられます。これらを把握しておけば、導入後に困ったことがあっても、サポートを受けながらシステムを運用し続けられるでしょう。

既存システムとの連携、現体制との違いを考慮していない

  • 企業全体の業務を円滑に進めるには、販売管理システム以外にも、さまざまシステムやサービスを利用しているはずです。にもかかわらず、すでに導入しているシステムやサービスとの連携を考えずに、販売管理システムの導入を進めてしまうと、連携するために余計な手間や時間がかかってしまい、結果的に失敗に陥りやすくなります。

    またシステムを導入するにあたって、既存の販売管理に近い方法であれば、移行はスムーズに進められますが、あまりに現体制と相違がある場合、社員全体が慣れるには相応の時間がかかります。現体制との違いをしっかりと把握していなければ、十分にメリットを得られないこともあります。

対策

  • まずは、既存システムとの連携有無を確認することです。多くの場合、ファイルを介した連携が出来るはずです。ファイルの入力形式や出力形式を任意の形に編集できるシステムであれば、既存のシステムを変更しなくても連携が出来るように設定ができ、スムーズな移行を実現できます。また、ファイルの連携以外でもAPIを使った連携有無も確認しておくと、業務効率が格段に上昇します。

    加えて、既存の販売管理から何がどのように変わるのかを把握し、社員が慣れるまでの時間も想定しておきましょう。

システム導入した数年後のことを想定していない

  • 最後に、意外と見落とされがちなのが、導入した後(半年~数年後)のことです。

    導入した数年後には、事業規模の拡大によるシステムとのミスマッチ、オンプレミス型ではサーバーの老朽化による入替などが発生します。しかし長期運用や先のことまで見据えていないと、想定外のトラブルや費用に見舞われるケースがあります。

    クラウド型の場合なら、事業規模が拡大したときのために、あらかじめプランの移行やユーザー数の増加などを想定しておく必要があるでしょう。現状の体制では、効率的な運用が困難になる可能性があるからです。

    オンプレミス型の場合なら、上記に加えて数年に一度、基盤となるサーバーやOSの老朽化に伴うバージョンアップや更新をしなければならなくなる可能性があります。このときに、今まで使っていたソフトウェアが使えなくなることがあり、ソフト自体のバージョンアップの際に更なる投資が必要となることがあるのです。

対策

  • クラウド型であれ、オンプレミス型であれ、数年の長期運用を見据えて導入することが大切です。

    ただクラウド型なら、バージョンアップや更新に関する悩みを解消できます。クラウド型の場合、常にバージョンアップされた最新のものが利用でき、バージョンアップの費用も利用料に含まれているケースが多いからです。

    オンプレミス型の場合は、利用予定年数を踏まえて、あらかじめリプレイスも想定しておくことをおすすめします。

まとめ:販売管理システム導入に失敗する原因と対策

  • 本記事で紹介した販売管理システムに失敗する原因と対策のまとめは、以下のとおりです。

    【原因まとめ】
    ・販売管理システム導入の目的が明確ではないから
    ・自社や現場運用に適していないから
    ・販売管理システムの使用感を確かめていないから
    ・既存システムとの連携、現体制との違いを考慮していないから
    ・システム導入した数年後のことを想定していないから

    【対策まとめ】
    ・導入目的を具体化する
    ・自社に適したシステムを選ぶ
    ・無料トライアルを活用し、サービス体制を確認しておく
    ・既存システムとの連携有無を把握しておく
    ・数年の長期運用を見据えて導入する

    販売管理システムを取り入れる際には、自社や現場に適したものを選ぶことが重要です。そのためには目的を具体化し、システムの使用感や現場の声を確かめながら、システムの比較検討を行いましょう。

    ちなみにクラウド販売管理システムである「s-flow」では、販売管理や入出金管理などの業務に必要な様々な機能が搭載されており、これまで紹介した「対策」が出来るよう、色々な工夫がなされています。30日間の無料トライアルも用意しているため、自社や現場にマッチするか事前に確認することもでき、トライアルから無料のチャットサポートがついているため、素早い問題解決が期待できます。これまでに紹介した「原因」に思い当たる節がある場合、それはs-flowで解決できるかもしれません。