最終更新日:2026/02/13
販管費(販売費及び一般管理費)は、会社の利益を左右する重要な費用であるにもかかわらず、「どこまでが販管費なのか」「原価とはどう違うのか」が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。広告費や人件費、家賃など日常的に発生する費用ほど、内容を正しく把握できていないと、利益の実態やコスト構造を見誤る原因になります。
この記事では、販管費の基本的な考え方から具体的な内訳、正しく管理すべき理由や削減の考え方までを整理し、実務に役立つ形で分かりやすく解説します。
この記事で分かること
● 販管費の意味や、原価との違い・位置づけ
● 販管費に含まれる主な種類と具体例
● 販管費を把握・削減するための考え方と実践ポイント

目次
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販管費とは?
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販管費とは「販売費及び一般管理費」の略称で、商品やサービスを製造する以外の目的で発生する費用を指します。具体的には、販売活動にかかる費用や、会社を運営・管理するための間接的な費用が該当します。
損益計算書では、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益の後に計上され、営業利益を算出するうえで重要な項目です。販管費には広告宣伝費や人件費、地代家賃などが含まれ、金額や内訳を正しく把握しないと、利益の実態を誤って判断してしまう恐れがあります。
販管費の種類や具体例
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販管費には、商品やサービスを「売るため」に発生する費用と、会社を「運営・管理するため」に発生する費用が含まれます。内容を正しく理解していないと、原価との区分を誤ったり、コスト構造を把握できなかったりする原因になります。
ここでは、実務で特に登場頻度が高い販管費の代表例を、具体的な内容とあわせて解説します。
広告宣伝費
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広告宣伝費とは、商品やサービスの認知度向上、ブランドイメージの浸透、見込み顧客の獲得を目的として支出される費用です。必ずしも短期的な売上につながるとは限らず、中長期的な効果を狙う点が特徴です。
● テレビCM・ラジオCMの放映費
● 新聞・雑誌・屋外広告の掲載費
● Web広告、SNS広告、リスティング広告費
● チラシ・パンフレット・ポスターの制作費
● 企業サイトやLPの制作・運用費広告宣伝費は金額が膨らみやすいため、媒体ごとの費用対効果を把握しながら管理することが重要です。
販売促進費
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販売促進費は、顧客の購入意欲を直接高めることを目的とした施策にかかる費用です。広告宣伝費と似ていますが、「実際の購買行動を後押しする点」に重点が置かれます。
● キャンペーンやセールの実施費用
● ノベルティやサンプル品の製作・配布費
● 展示会・イベント・見本市への出展費
● クーポンやポイント施策の原資
● 店頭POPや販促ツールの制作費施策ごとに成果を検証しないと、効果の薄い支出が続いてしまう点に注意が必要です。
人件費
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人件費は販管費の中でも占める割合が大きく、経営への影響も大きい費用です。販売活動や管理業務を担う人員にかかるコストが該当します。
● 営業担当者・管理部門社員の給与・賞与
● 役員報酬
● 法定福利費(社会保険料、労働保険料など)
● 福利厚生費
● 退職給付費用なお、製造現場で直接製品を作る作業員の人件費は製造原価に含まれ、販管費とは区別されます。人件費は固定費化しやすいため、業務内容や人員配置の適正化が重要になります。
旅費交通費
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旅費交通費とは、営業活動や管理業務など、業務上の移動に伴って発生する費用を指します。販管費として計上されるのは、販売活動や管理部門の業務に関わる移動費用です。
● 営業担当者の出張交通費(電車・バス・飛行機代など)
● 出張時の宿泊費
● 営業活動に伴うタクシー代
● 管理部門の打ち合わせや研修参加時の交通費
● 業務使用分のガソリン代や高速道路料金製造現場に直接関わる移動費用は原価に含まれる場合があるため、用途別の区分が重要になります。
接待交際費
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接待交際費は、取引先や関係者との関係構築や維持を目的として支出される費用です。販管費の中でも、税務上の取扱いに注意が必要な項目といえます。
● 取引先との会食・飲食代
● 取引先への贈答品・お中元・お歳暮
● 接待ゴルフやレクリエーションの費用
● 取引先訪問時の手土産代
● 懇親会や交流会の開催費用用途や相手先を明確に記録しておかないと、税務上否認されるリスクがあります。
地代家賃
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地代家賃とは、事務所や営業所など、会社の運営に必要な施設を借りるために支払う費用です。販管費の中でも固定費として発生する割合が高い項目です。
本社・支店・営業所のオフィス賃料
● 倉庫や店舗の賃借料(販売・管理目的)
● 駐車場の賃料
● 共益費・管理費製造拠点や工場の賃料は製造原価に含まれるケースがあるため、用途ごとの区分が重要です。
水道光熱費・通信費
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水道光熱費・通信費は、日常的な業務を行ううえで継続的に発生する費用です。管理部門や営業部門で使用される分は販管費に該当します。
● 事務所や営業所の電気代・水道代・ガス代
● オフィスのインターネット回線使用料
● 固定電話・携帯電話の通信費
● クラウドサービスやオンラインツールの利用料製造設備で使用する光熱費は原価に含まれるため、部門別の管理が欠かせません。
業種ごとの販管費の特徴
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販管費の構成や比率は、業種によって大きく異なります。自社の業種特性を理解せずに販管費を分析すると「多い・少ない」の判断を誤る恐れがあります。
ここでは、代表的な業種ごとに販管費の特徴と注意点を整理します。
製造業
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製造業では、製品を作るための費用は製造原価に含まれるため、販管費は営業部門や管理部門にかかる費用が中心になります。原価の割合が高い分、販管費は比較的抑えられる傾向があります。
主な販管費には、営業担当者の人件費や旅費交通費、本社管理部門の人件費、事務所の地代家賃などがあります。注意すべき点は、間接人件費や共通費用を原価に含めすぎないことです。原価と販管費の区分を明確にしないと、製品ごとの採算判断を誤る原因になります。
IT・ソフトウェア業
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IT・ソフトウェア業は、物理的な原材料がほとんどなく、人件費がコストの大部分を占める点が特徴です。そのため、販管費比率が高く見えやすい業種といえます。
営業や管理部門の人件費、広告宣伝費、クラウドサービス利用料、通信費などが主な販管費です。一方で、開発中の案件にかかる人件費は仕掛かりとして管理されるケースも多く、販管費との切り分けが重要になります。人件費を一括で販管費にしてしまわないよう、業務内容ごとの管理が欠かせません。
建設業
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建設業では、工事ごとに原価を管理する必要があるため、販管費と工事原価の区分が特に重要です。工事に直接関わる費用は原価となり、本社や営業部門の費用が販管費に該当します。
主な販管費には、本社管理部門の人件費、営業活動にかかる費用、事務所の地代家賃や光熱費などがあります。工事関連費用を誤って販管費に計上したり、その逆を行ったりすると、工事別の利益管理に支障が出るため注意が必要です。
小売業・飲食業
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小売業や飲食業は、店舗運営に直結する販管費が多い点が特徴です。売上に対する販管費比率が高くなりやすく、特に固定費の影響を強く受けます。
店舗スタッフの人件費、地代家賃、水道光熱費、広告宣伝費などが主な販管費です。売上が減少すると、固定費の負担が一気に重くなるため、店舗ごとの採算管理が重要になります。販管費を店舗別に把握し、売上とのバランスを確認することが欠かせません。
サービス業
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サービス業では、「人」が価値を生み出すため、販管費の多くを人件費が占めます。設備投資は比較的少なく、固定費の中心は人件費と事務所関連費用です。
主な販管費は、人件費、外注費、地代家賃、通信費、システム利用料などです。原価と販管費の境界が曖昧になりやすいため、業務内容ごとに人件費を整理することが重要になります。稼働率と販管費の関係を意識した管理が、利益改善の鍵となります。
販管費を正しく把握するべき理由
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販管費は、日々の業務の中で継続的に発生する費用であり、気づかないうちに増えやすい特徴があります。
しかし、その影響は単なる経費管理にとどまらず、利益の見え方や経営判断の質、さらには企業体質そのものにまで及びます。販管費を正しく把握し、構造を理解することは、安定した経営を行ううえで欠かせない前提条件といえます。
利益を正しく把握するため
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販管費は、売上総利益から差し引かれて営業利益を算出するため、利益の実態を大きく左右します。販管費の計上漏れや分類ミスがあると、実際よりも利益が出ているように見えたり、逆に赤字と誤認してしまったりする恐れがあります。
特に人件費や広告宣伝費など金額の大きい項目は、少しのズレでも利益に与える影響が大きくなります。販管費を正確に把握することで、数字上の利益と実態のズレを防ぎ、会社の収益力を正しく把握できるようになります。
経営判断の精度を高めるため
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販管費の内訳を把握していないと、経営判断はどうしても感覚的になりがちです。どの費用が増えているのか、売上の伸びに対して販管費が適正かどうかを把握できれば、投資すべき分野と見直すべき分野を明確にできます。
例えば、広告費が増えているにもかかわらず売上が伸びていない場合、施策の見直しが必要だと判断できます。販管費を可視化することは、根拠のある意思決定を行うための土台となります。
原価との区分を明確にするため
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販管費と原価の区分が曖昧だと、製品やサービスの採算を正しく把握できません。本来販管費に含めるべき間接的な人件費や管理費用を原価に含めてしまうと、原価が実態より高く見えてしまいます。
その結果、価格設定を誤ったり、利益率を正しく評価できなくなったりするリスクがあります。販管費を正しく把握することは、原価計算の精度を高め、適切な価格戦略を立てるためにも重要です。
無駄なコストを見つけるため
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販管費を項目別に細かく管理することで、これまで見えていなかった無駄なコストに気づきやすくなります。例えば、効果が不明確な広告費、利用頻度の低いサブスクリプションサービス、重複している外注業務などが挙げられます。
これらは一つひとつの金額は小さくても、積み重なると大きな負担になります。販管費を定期的に見直すことで、削減すべき費用と維持すべき費用を整理でき、継続的なコスト改善につながります。
販管費を削減するための考え方
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販管費の削減は、単に支出を減らすことが目的ではありません。業務の進め方やコスト構造を見直し、無駄を省きながら効率的な経営体制を整えることが重要です。
ここでは、実務で取り組みやすく、効果が持続しやすい代表的な考え方を紹介します。
業務フローを見直す
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販管費削減の第一歩は、日々の業務フローを見直すことです。業務内容を洗い出してみると、不要な作業や重複している業務、属人化している工程が見つかることがあります。
こうした無駄な業務は、人件費や外注費の増加につながります。作業の標準化や役割分担の見直しを行うことで、業務効率が向上し、結果として販管費の抑制につながります。コスト削減と同時に、生産性向上が期待できる点がメリットです。
広告宣伝費・販促費を見直す
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広告宣伝費や販促費は、効果が見えにくいまま継続されがちな費用です。まずは施策ごとに目的や成果を整理し、売上や問い合わせにつながっているかを確認しましょう。効果が不明確な施策を続けている場合、見直す余地があります。
一方で、成果が出ている施策まで削減してしまうと、売上減少につながる恐れもあります。費用対効果を基準に、やめるべき施策と投資すべき施策を見極めることが重要です。
賃料・固定費を見直す
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賃料や光熱費などの固定費は、毎月継続的に発生するため、見直しの効果が長期的に続きます。オフィスの面積が現在の業務規模に合っているか、テレワークの導入によって縮小できないかなどを検討しましょう。
また通信費やサブスクリプションサービスの契約内容を見直すことで、不要な支出を削減できる場合もあります。一度の見直しで継続的な削減効果が得られる点が特徴です。
外注費・業務委託費を見直す
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外注費や業務委託費は、長期間にわたって慣例的に支払われているケースが少なくありません。業務内容が現在も必要か、成果に見合った金額かを定期的に確認することが重要です。
内製化できる業務は切り替えを検討したり、複数社から見積もりを取ったりすることで、コストを適正化できます。契約内容を明確にすることが、無駄な支出の防止につながります。
システム・ツールを導入する
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業務の効率化を目的としたシステムやツールの導入も、販管費削減に有効です。販売管理や会計ソフトを活用することで、手作業や二重入力を減らし、人件費やミス対応のコストを抑えられます。
初期費用がかかる場合もありますが、長期的には業務負担の軽減やコスト削減につながるケースが多いです。人に依存した業務を減らし、仕組みで管理することが重要です。
まとめ
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販管費とは、商品やサービスを製造する以外の目的で発生する、販売活動や会社運営に必要な費用を指します。広告宣伝費や人件費、地代家賃など多くの費目が含まれるため、内容を正しく理解し、原価と明確に区分することが重要です。
販管費を適切に把握できていないと、利益の実態を誤って判断したり、経営判断の精度が低下したりする恐れがあります。一方で、業務フローの見直しや広告・固定費の最適化、システム導入などを通じて、販管費は無理なく削減できます。販管費を管理すべきコストとして捉え、定期的に見直すことが、安定した経営と利益体質の強化につながります。
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